花菖蒲園
花菖蒲(はなしょうぶ)
- 花期:
- 6月中旬~7月下旬
- 見頃(最盛期):
- 6月下旬~7月上旬
花菖蒲は日本の山野に自生するノハナショウブをもとに、江戸時代中期以降に積極的な改良が行われ発達を遂げた伝統園芸植物で 日本人の美意識がそのまま花に表れているという点で、数ある園芸植物のなかでも稀有な花であり、現存する品種数は2.000種以上あります。
当園では、品種の保存・改良・育種を積極的に進め、現在20万株・500種を超える。しかし、風雨や性質が弱いもの、花菖蒲園に向かないものも多く、景観を重視した品種選びに努めています。
花菖蒲の系統
長井古種
長井古種は山形県長井市あやめ公園に保存され、江戸中期頃の花菖蒲の姿に近い品種群で、ノハナショウブの面影を残す。花径12cm前後の小輪花が多く、可憐で群生が美しい。
切花や茶花にも向く。長井系品種は、総じて丈夫で栽培しやすく、植え替えサイクルも長く好都合な品種群といえる。
◀ 長井古種(夢且見)
江戸系
江戸時代後期の天保年間(1830~43)のころ、東京都葛飾区堀切に小高園が開園し、江戸末期から明治大正時代にかけて江戸人士の行楽の地として賑わいをみせた。 そして、次々と数多くの品種が作出され、江戸花菖蒲と呼ばれるようになった。草丈は比較的高く、群生美が美しく、さまざまなタイプがあるなかにも江戸人士の好みによる粋な趣のある花が多い。花菖蒲園向きの系統といえる。
◀ 町娘(江戸系)
熊本花菖蒲(肥後系)
松平菖翁より譲り受けた品種をもとに、江戸時代末期から肥後藩士らによって改良が進められた品種群。肥後六花の一つとして豪華さの中にゆるぎない品格を備えた花は、武士道精神の表れであり、まさに武士(もののふ)の花である。鉢で作り、室内に陳列して観賞した。戦後一般に普及、改良され「肥後系」と呼ばれる系統となった。
◀ 紅桜(肥後系)
伊勢(松坂)花菖蒲
江戸末期の紀州藩士、吉井定五郎により作出され、その後も松坂地方の少数の人々によってまもり、伝えられてきた系統。戦後は「伊勢系」と呼ばれ広く一般に普及した。伊勢菊、伊勢撫子とともに「伊勢三珍花」と呼ばれ、この地方の好みで、垂れ咲きの三英花が特徴である。男性的な熊本花菖蒲に対し、繊細で女性的な美しさに溢れる。
◀ 松坂司(伊勢系)
アイシャドウアイリス
キショウブと花菖蒲との種間交配種。
花径はそれほど大きくないが、キショウブの血が流れており、生育・繁殖共旺盛で、草丈も100cm以上になるものも多い。花弁元のシグナルと呼ばれる部分に特徴があり、花色も多数育種され始め、この部分の研究がさらに進めば、今後更なる発展が期待されるグループである。
花菖蒲園の開花状況
下の4品種は、当園作出の花菖蒲です。全般的に遅咲きが多いです。